「ダーク」 桐野夏生 講談社文庫
2006-05-10


村野ミロは獄中自殺を図った恋人の死を隠蔽した父に復讐する。父の友人のヤクザ者鄭、父の内妻久恵、そして旧友の友部に追われるミロは、暗い逃避行を続ける。

文字通り、DARK な内容でした。エロとグロと悪意といった人間の醜い部分が次から次へと出てきます。ですが、私にはこの話が何を伝えたいのかとうとうわからなかったこともあって、単に後味の悪い読後感が残っただけでした。「OUT」もグロかったりしましたが、日常の閉塞感、そこからの開放、というテーマを感じたので、それなりに読めましたが、この作品は正直、つまんなかったです。

そもそも、冒頭の「四十歳になったら死のうと思っている」のあたりでいきなり引っかかりました。なんか、こう、大してその気もないくせに独りよがりに年齢の区切れで死んでやる、とか思っている地雷系の女子って想像するだに苦手です。で、その想像通り、なんだかなぁな展開になるわけですが。話の展開といっても、いわゆる「起承転結」で言うと、承、承、転、承、承、承、てな具合でさっぱり盛り上がらない感じです。

解説によると、どうもミロの出てくるシリーズのうちのひとつで、それまでの読者の思い入れをぶち壊すような内容だ、ということです。残念ながら、このシリーズはどれも読んでいないので、やっぱり特段の感想を持てません。他の作品読んで、ぶち壊れ方に感動するしか楽しみ方はないのかもしれません。

[読書感想文]
[書名(た行)]

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